山岳地帯の希少種を守る:ジャスパー国立公園内のカリブー保護繁殖プロジェクト
カナダ公園局のシニアプロジェクトマネージャー、ジョシュア・カマーフィールド氏によると、3800万ドルのカリブー保護繁殖センターの工事は、現在約40%の完成度です。
「建物内の機械および電気設備の荒工事が進行中で、ケーブル、導管、ダクトの設置が行われています。窓とドアが取り付けられ、外壁と屋根の取り付け準備が進められています」とカマーフィールド氏は述べています。
現時点では、プロジェクトが完成した時の様子がほぼ見えるようになっています。
65エーカーの建設現場は、アサバスカ滝近くのハイウェイ93A沿いに位置しており、合計施設面積の約55エーカーがカリブーの囲いのために森林地帯として残されます。
しかし、すべての準備作業を「建設」と呼ぶことはできません。ジャスパー国立公園は、少数の先住民パートナーと一緒に、地衣類の収集プログラムの初期段階にあります。地衣類はカリブーの食生活に不可欠な部分です。
先住民パートナーは先月、ジャスパーの地衣類収集プログラムがどのようなものになるかについての議論を開始するために、カリブー回復チームに加わりました。
いくつかの先住民コミュニティは、地衣類収集プログラムを組織する経験が豊富です。カナダ公園局の生物学者であるカーメン・リヒター氏と一緒に、彼らは2024年春の最初の地衣類収集に向けて努力しています。
ジャスパー国立公園にカリブー保護繁殖センターが設立される経緯には、カリブーの個体数の減少と種の保存の必要性が大きく関係しています。以下が主な経緯です。
- カリブー個体数の減少: カナダ、特にアルバータ州の山岳地帯に生息するカリブーは、過去数十年にわたって激減しています。これは、生息地の破壊、気候変動、捕食者の増加、人間活動による干渉など、さまざまな要因によるものです。
- 保護活動の増加: カリブーの個体数減少を受けて、政府機関や環境保護団体は、種の保存と個体数回復のための取り組みを強化しました。これには、繁殖プログラムの設立や生息地の保護が含まれます。
- ジャスパー国立公園の選定: ジャスパー国立公園は、その豊かな自然環境と野生動物の多様性から、カリブー保護繁殖センターの設立に適した場所として選ばれました。国立公園内にセンターを設置することで、カリブーが自然に近い環境で繁殖できるようになります。
- 繁殖センターの設立: カリブー保護繁殖センターは、カリブーの捕食者からの保護、適切な栄養の提供、遺伝的多様性の維持などを目的として設計されました。繁殖センターの建設は、カリブーの繁殖と個体数回復に不可欠な役割を果たすことが期待されています。
- 長期的な目標: カリブー保護繁殖センターの究極の目標は、カリブーの持続可能な個体群を再確立し、将来的には野生に放すことです。これは、カリブーの保全だけでなく、生態系全体のバランスと多様性の維持に寄与することになります。
このように、ジャスパー国立公園におけるカリブー保護繁殖センターの設立は、種の保存と生態系の健全性を維持するための重要なステップとなっています。