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バンフ国立公園を保護するための闘い

私達の住むバンフは観光客の増加により自然が大きなダメージを受けています。自然を守るのは簡単です。それはバンフ国立公園を封鎖してビジターを受け入れなければいいのです。

しかしバンフ国立公園はあくまで「公園」です。1885年以来世界中のビジターを魅了してきました。
国立公園内にはビジターにレストランやツアーなどを提供するための住民が住む「バンフ」という人口8000人の町が存在しています。

バンフに住む8千人の住民とそれを大きく上回る数のビジターの活動がありながら、健全な生態系を守るにどうすればいいのか?

全世界のためそんな研究を行っている場所が私達の住む「バンフ国立公園」なのです。

現在のバンフ国立公園の現状

「アルバータ州バンフ国立公園は、アウトドアを体験したいという人々の欲求と、公園内の自然を保護のバランスを取ることが非常に難しいと感じています。」

ハーベイ・ロック氏はバンフ長年の住民であり、ワイオミングからカナダ北部までの保護地域を結ぶ「Y to Y」の創設者であり、国際自然保護連合の元議長でもあります。

バンフ国立公園の湖畔のビーチに群がる観光客の群れ

彼は息子と娘と一緒に、バンフ国立公園にあるモレーン湖近くでハイキングをしたいと思っていました。

2019年7月、カナダで最も古く、人気のあるバンフ国立公園は混雑していました。

バンフ国立公園の入場者数は、カナダの48の国立公園全ての入場者の約4分の1を占めています。

そして近年、ビジターは420万人に急増しました。ロック氏は車の混雑を見てビジターが劇的に増加したと感じました。

モレーン湖周辺でハイキングをするためモレーン湖の駐車場を早く確保しなければならない事は分かっていました。ロック氏は登山に出かけるのと同じような早朝に家を出ました。

しかし、ロック氏は駐車場を確保する事が出来ませんでした。

「午前6時に駐車場はすでに満車でした。」とロック氏は言います。

ロック氏と彼の家族は、モレーン湖を後にして14km離れたレイクルイーズに車を走らせました。レイクルイーズではなんとか駐車スペースを確保する事ができました。

 レイクルイーズの混雑(写真:ダン・リース/アラミー)

ロック氏は少しショックを受けましたが、ビクトリア山の氷河、青緑色の美し湖を眺めながら、レイク・ルイーズ湖畔のトレイルに向かって出発しました。

3.5 kmの短いハイキングで、午前8時にレイクアグネスの前にあるティーハウスがオープンする前に到着しましたが、カルガリーのダウンタウンにある人気レストラン並に行列ができていました。ロック氏一行はなんとか最後のテーブルを確保しました。そして、トイレに行くとなんと待ち時間が15分もありました。

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レイクアグネスのティーハウスの混雑の様子

ビジターの増加による自然へのストレス

過去10年間で、バンフのビジター数は25%増加し、年間約300万人から400万人になりました。

ビジターの急増は、カナダおよび世界中で起こっています。

人気のトレイルヘッド駐車場は早く満車になり、ゲストはSNS投稿のためのビューポイントで自撮り写真を撮るために行列を作っています。

これらの人気スポットの管理局は、野生生物とその生息地に対する、トレイル外への踏み込みや車、ゴミやトイレなどの環境ストレスへのバランスを取るのに苦労しています。 

バンフでは特にビジターによる自然へのストレスが顕著です。大陸横断鉄道と高速道路がバンフを通り抜け、町と3つのスキーリゾートがその境界内にあります。(2020年、公園は2か月間閉鎖され、海外からの旅行者はほとんどいませんでした。しかし、それでも320万人のビジターを記録しました。)

ユネスコの世界遺産であり、国内最古の国立公園であるバンフは、カナダ全ての国立公園規定などのあり方の手本と見なされています。

パークスカナダが、野生生物の保護とバンフの生息地の保全のバランスを取りながら、国立公園がビジターに国立公園の楽しみ方を深く理解するように促すことによって公園をよりよく管理できるようになります。

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  COVID-19でも、公園には大勢の人で賑わいました。(写真:Hecke61 / Shutterstock) 

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バンフ国立公園の町にも同様に大勢の人が集まりました。(写真:Cheng Feng Chiang / Istock) 

国立公園によるビジターへの対処 

ビジターの急増を避けるため、バンフ&レイクルイーズツーリズムは2016年に夏のシーズンの宣伝を中止しました。

また、バンフ国立公園のスタッフは、新しい観光客を増やすために広告活動をするのではなく、公園に来てからのビジターの行動に焦点を当てています。

「公園内の人間が増えると、野生生物の衝突と訪問者の安全の問題が増加します。」と、パークスカナダの管理責任者であるスティーブミシェル氏は述べています。「ビジター急増の圧力が高まっており、それが生態系を危険にさらしています。」

パンデミック中のカナダ人ビジターの急増は、トレイル外を歩いたり、動物に近づきすぎたり、ゴミをポイ捨てしたり、不適切な行動をとる人の増加と一致したとミシェルは言います。悲しいことにカナダ国内のビジターの方が国立公園への意識が低い事が問題となっています。

その結果、昨年7月にバンフで、国立公園のレンジャーは1週間で2人のオオカミを安楽死させなければならない事件が起こりました。オオカミ人間に慣れ過ぎてバンフの町を徘徊し始めたのが原因です。

バンフ国立公園は、観光団体、メディア、その他の訪問者情報源と協力して、ビジターによる行動の潜在的な自然に対する影響と野生生物と安全に交流する方法についての一貫したメッセージを調整しました。しかし、ミシェル氏は、ビジターの意識改革と彼らを良い行動に導く方法は、パークスカナダの弱点の1つであると言います。

「私たちは生息地と野生生物をうまく処理していますが、私たちは訪れる人間の自然に対する意識改革の問題に苦しんでいます。」 とミッシェル氏は語ります。

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 バンフ国立公園は、さまざまなアウトドア体験で訪問者に人気があります。(写真:ジェームズ・アンダーソン) 

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 スポーツやレクリエーション活動は大勢の人で賑わいます。(写真:James Gabbert / iStock)

バンフ国立公園の問題に対する行動

公園システムは、何十年もの間、特に2012年の大幅な予算削減以来、社会科学よりも生態学にリソースを集中させてきたとミシェルは言います。しかし、今日の予算削減による圧力は公園の進化を助けています。

たとえば、ミネワンカ湖レイクサイドトレイルでの解決策を考えてみましょう。このトレイルはマウンテンバイカーとグリズリーの事故が多発しています。

簡単な解決方法は、サイクリストを禁止することだったかもしれません。しかし、ハイカーは、グリズリーとの遭遇はほとんどありませんでした。公園は状況を詳しく調べて、グリズリーと人間の遭遇事故は夏のベリーシーズンの周りに集中している事を突き止めました。これにより、より的を絞った解決策が可能になりました。ミネワンカトレイルを7月と8月のハイキングだけに制限する解決策が取られました。

バンフ国立公園の訪問者体験マネージャー、ダニエラ・ルーベリング氏はこのように述べています。

「私たちは、公園の生態系に不必要な負担をかけずに人々を受け入れるための創造的な方法を常に探しています。私達が行う仕事の多くは、将来を見据えています。将来のビジターを念頭に置いて、現在抱えている問題にどのように対処するのか?生態学的な完全性と質の高い訪問者体験をどのようにサポートできるのかま?自由に使えるツールがたくさんあります。」

たとえば、ハイイログマの生息地では、ハイカーは6人以上のグループで移動する必要があります。クマは大勢のグループと出会可能性が低くなります。他の地域では、公園は犬を禁止しており、一部の地域では完全進入禁止になったいる場所があります。

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 公園でのアウトド活動では常に野生生物に出会う可能性があります。(写真:ティム・ノークス) 

 野生生物の種類によっては非常に危険な状態に陥ります。(写真:Robbert Bouwsma / Alamy)

新しいテクノロジーは間違いなく有効です。

コロラド州の無料のハイキングトレイルアプリは、ライブWebカメラとトレイル交通カウンターでトレイルの混雑や駐車場のオーバーフローを減少させています。将来的には、スマートフォンの通知によって代替の目的地が提案され、歩道の閉鎖、キャンプ場の状況、交通渋滞などの情報が提供される可能性があります。

ビジター数を制限するために、パークスカナダはすでに予約制度を使用して、パシフィックリム国立公園保護区のウェストコーストトレイルとブリティッシュコロンビア州ヨーホー国立公園のオハラ湖エリアの人数を管理しています。需要が非常に高いため、地元の人でも予約をとることが難しいことがよくあります。

しかし、予約制システムはそれほど有効ではないようです。カリフォルニア州サンフランシスコ近郊のミューアウッズ国立公園では、週末と休日に群衆が氾濫していました。公園の唯一の駐車場が溢れ、人々はそびえ立つレッドウッドの木々の間で群衆を避けるためにトレイル外の植生を踏みにじり、近隣の住民からは混雑について苦情を申し立てました。2018年、公園は必須の予約システムを採用しました。しかし、実際は訪問者の総数は変わりませんでした。1日の数を制限することで、それらをより均等に分散させただけの結果となりました。

しかし、公園の監督レンジャーであるキャシーアンダーソン氏によると、「ピークの日には公園にいる人が数千人減少しました。近隣の住民は、混雑の度の違いを感じています。」そしてビジターは、より静かで落ち着いた体験が可能になりました。また、公園スタッフは煩わしさやストレスが少なく、訪問者との時間を増やすことができました」。

アンダーソン氏は次のように述べています。「多くの人がいるからといって、その場所の魅力が損なわれるということはないと判断しました。」

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 バンフは、ミネワンカ湖の近くでのサイクリングの季節的な制限を通じて、人間と野生生物の対立を緩和することにある程度成功しています(写真:Paul Zizka / Banff&Lake Louise Tourism)

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 マップ:Chris Brackley / Can Geo; マップデータ:パークスカナダの財務諸表からの支出2019-2020; パークスカナダが提供する訪問者の統計 

人間と自然界の共存の歴史とその進化

偶然ではありますが、パークカナダの使命は、理解、感謝、楽しみを育みながら、現在および将来の世代のために魅力的な自然と文化遺産を保護するために国立公園を管理することです。

しかし、人々に来てもらうと同時に、その場所をどのように保護すれば良いのでしょうか。

カナダ太平洋鉄道が完成した後、1885年にバンフが観光名所として設立されたとき、その難問は存在しませんでした。

26平方キロメートルのバンフ温泉保護区は、現在の町の近くにあるミネラルが豊富な暖かいサルファー山の温泉に焦点を当てていました。
初期の観光客のほとんどは貴族で、米国の東海岸から来ていました。温泉をを楽しむ以外の時間、彼らは馬に乗って荒野を冒険し始めました。
彼らは、湖を隠している氷河に刻まれた懸谷が青と緑の見事な色合いに染まっているのを発見しました。彼らは広大な高山草原に登り、そこでハイイログマとオオツノヒツジを見つけました。そして、彼らはゴツゴツした頂上を制覇すると、さらにその向こうに氷河をかぶった山の海を見つけました。

「初期の国立公園ネットワークの成長の焦点は観光を促進することでした。」
バンフと国立公園の歴史に関する本の著者であるテッド・ハート氏は述べています。
「保存の側面についてはほとんど言及されていませんでした。」

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 バンフのマネージャーは、人間の使用と生態系の完全性のバランスを取るという課題を長い間認識してきました。(写真:Christopher Becerra / Shutterstock)

1930年に国立公園法の成立とともに国立公園のあり方が変わりました。

バンフや他の公園での水力発電ダムや資源プロジェクトによる自然破壊の脅威は、それらを「将来の世代のために損なわれていない」状態に維持するという使命に人々の動機を転換させました。

それ以来、パークスカナダの生態系保全への関心は高まり続けており、主にバンフでの観光開発提案への反対に支えられています。

具体的な自然保護への活動は1960年代に始まり、レイクルイーズスキー場は冬季オリンピックを主催するために2回の入札に失敗し、石油会社Essoが率いるレイクルイーズの村の大規模な拡張は中止に追い込まれました。1970年代までに、これらの提案に対する国民の反対は、カルガリーでの環境運動の誕生につながりました。

ヴァンティゲム氏の最初の仕事つは、これらの活動から生まれました。現在、野生生物と保護に関する15冊の本の著者であり、2008年から2011年までバンフの監督を務めるなど34年間保護管理に携わっていました。

彼のキャリアは1977年にカナダ野生動物保護局の生物学者として始まりました。バンフの管理者は、彼から得られた情報を使用して公園を5つのゾーンに分割し、それぞれが野生生物の生息地の重要性に応じて、さまざまなレベルの使用とインフラストラクチャの開発を制限管理して来ました。
バンフ国立公園全体の面積の内、ホテル、道路、歩道、その他のインフラストラクチャにゾーン化されているのはわずか2%で、それはほとんど変更される事はありません。

 「私たちは常に、公園の生態系に不必要な負担をかけずに 人々を受け入れるための創造的な方法を探しています。」

「ゾーニングは常に妥協点でした」とヴァンティゲム氏は言います。「野生生物にとって最適な地域は、町と高速道路がある谷底にあります。完璧ではありませんがかなり良い状態です。」

しばらくの間、管理局の活動は公園内の人々の影響を抑えるのに役立ちましたが、1990年代初頭までに、国内外の旅行者が公園に群がり、訪問者数が急増しました。

観光推進者と環境保護主義者の間で摩擦が生じた公園システムは、1994年に独立中立の機関にバンフ-ボウバレー調査を委託しました。

バンフ-ボウバレー調査の結果では、「私たちがすぐに行動を起こさない限り、バンフを国立公園にする品質は失われる。」ということがわかりました。
調査による500の推奨事項は、バンフと公園システムの未来を形作っています。この調査により、カナダで初めて、トランスカナダハイウェイに沿って柵と野生生物の陸橋ができました。
さらにバンフの町郊外にある歴史ある士官候補生学校をと空港を閉鎖して野生生物の回廊を作り、バンフの町の敷地のサイズを制限し、3つのスキーリゾートの拡張を制限しました。

公園に来る人の数は10年以上の間かなり横ばいであり、その後わずかに減少し始めました。
2010年、ヴァンティゲム氏は、公園の10年にわたる管理計画の作成を任されました。彼は、カナダ中央政府の官僚に「カナダ人は公園を修理したいが、新しい活動や開発を追加したくないと。」と訴えました。

しかし、パークスカナダの国家執行機関は、公園の利用の減少を懸念していました。
パークスカナダエージェンシー法の下では、サービスは訪問者料金から支払われることになっています。
しかし、ほとんどの国立公園では予算が不足しています。
バンフは多くの訪問者があるため予算が潤沢であり、訪問者の少ない公園に助成金を支給しています。

このような理由から「国立公園への訪問者数を増やすために、マーケティングとプロモーションに常に非常に重点が置かれていました。」とヴァンティゲム氏は言います。

結局、政府官僚幹部は、訪問者の数を毎年2%増やすという目標を挿入しました。計画では、日帰り旅行者を呼び込み、サイクリングトレイルやキャンプ学習プログラムなどであり、冒険心を煽るようなアクティビティーは取り入れられませんでした。

政府の官僚は国立公園の本当の魅力を見ていなかったと、ヴァン・ティゲム氏は述べています。
近年ではハイキング、ロッククライミング、バックカントリースキーが人気を集めていました。Instagramなどのソーシャルメディアアプリが普及し、モレーン湖やルイーズ湖などの特に写真に値する場所が「地球上で最も美しい10の場所」のリストに追加されました。その間、東にたった1時間ほどの場所にあるカルガリー経済は活況を呈していました。人口は2001年の88万人から2019年には130万人に増加しました。

全国の国立公園への訪問は10年間着実に増加し、2017年にパークスカナダが国の生誕100周年記念の一環として入場料を廃止したとき、全国の国気公園の入場者数は1,680万人に達しました。
他の国立公園では訪問者数は横ばいまたはわずかに減少しましたにも関わらず、バンフでは2019年には420万人まで増加し続けました。

現在のバンフ国立公園と生態系保全への取り組み 、SDGsへ

パークスカナダは、COVID-19のロックダウンの一環として2020年の4月と5月にすべての国立公園を閉鎖しましたが(2019年と比較して全国の訪問者が28%減少しました)。

しかし、バンフでは6月から通常夏の訪問者の半分を占める海外からの観光客がいないにもかかわらず、12月はビジター数の減少はわずか数パーセントでした。パンデミック前の傾向が続く場合、バンフは2030年までに500万人ものビジターを迎えるかもしれないと推定されています。

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 モレーン湖、バンフ国立公園。(写真:ポールベイビー) 

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 既存および新規の駐車場は、バンフの混雑の一因となる可能性があります。(写真:スティーブン・ドレイ/アラミー) 

カルガリーのマウントロイヤル大学のエコツーリズムおよびアウトドアリーダーシップの教授で、バンフやその他の保護地域で世界的に訪問者の管理を研究しているジョー・パベルカ氏は、このような数字を処理するには、何か対策が必要があると述べています。しかし、カリフォルニアのミューアウッズ国立公園のように、毎日の訪問者の数を制限することはうまくいくとは考えていません。

「バンフはカナダで最も愛されている公園です」と彼指摘しています。「入場者を制限する事は政治的に難しいでしょう。」

パベルカ氏は人数制限の代わりに自家用車乗り入れのお禁止を提唱しています。

バンフにはカルガリーから公園全体へのシャトルサービスがあり、利用者は急速に増加しています。公園内では、2018年から2019年の間に21%増加しました。(残念ながら、パンデミックでは劇的に減少しました。)

パベルカ氏はユタ州のザイオン国立公園と同様に、シャトルバスが公園のトレイルにアクセスする唯一の方法になることを望んでいます。訪問者は公園の外に車を置き、シャトルバスに乗ってトレイルヘッドに行く方式です。

パベルカ氏はまた、カルガリーの空港からバンフの町の駅までの高速列車、公園全体を走る無料シャトルバスなどを提唱しています。それは、温室効果ガスの排出を削減すると同時に、混雑や駐車問題を和らげる解決策だと彼は述べています。

「バンフの問題は人数ではありません。それは車の数です」とパベルカ氏は指摘しています。「車両の数を劇的に減らせばその後、人の数も減ります。」

バンフのグリズリーに関する調査によると、人間によるトレイルの使用が増えるとクマは人々を避けるために動き回ります。そうなるとクマの消費するエネルギーが増えるにも関わらず食べる量が減ることになります。
トレイルの使用が1日あたり17グループを超えると、野生動物はそのエリアを一斉に回避し始める事が分かっています。

パークスカナダとアルバータ環境公園のスタッフ、モンタナ大学とブリティッシュコロンビア大学によるボウバレーでの最近の研究では、開発とレクリエーションによって肉食動物の最高品質の生息地が14%減少したことがわかりました。

アルバータ州ジャスパーでは、カナダパークス&ウィルダネス協会は、カナダの公園がジャスパー国立公園の山岳地帯利用を制限しなかったこ事がカリブーの群れを絶滅させる主な推進力となったと非難しています。

「シャトルバスにもっと多くの人を詰め込むだけでは、生態系を保護したり、モレーン湖でのハイキング体験の質を向上させたりすることはできません」と自然保護論者のハーベイロック氏は指摘しています。 

国立公園の訪問需要が高まるにつれ、生態系を維持し訪問者の体験を向上させる唯一の方法は公園を増やすことだとロックは述べています。 

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 建設中の新しい駐車場。(写真:ハーベイ・ロック) 

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 潜在的な解決策:より多くのシャトルバスで自家用車利用を減少させる。(写真:ダミアンブラント/バンフ&レイクルイーズ)

公園を増やすというアイディア促進は、アルバータ州政府が1970年代にバンフの南と東の国境に一連の州立公園をつ作った事がきっかけとなりました。カナナスキスカントリーは、バンフの混雑緩和対策として機能しています。50年後の今、これらの新しい公園はバンフと同じくらい人気があります。2020年には記録的人数である540万人がカナナスキスカントリーを訪れました(バンフはわずか10か月で320万人の訪問者を記録しました)

「バンフとカナナスキスはもうすでに満員です。人々が楽しむために、より多くの国立公園や州立公園が必要です。」とロック氏は指摘しています。

ロッキー山脈の東斜面に新しい公園を新設すれば、訪問者が国立公園で過ごす時間を短縮する可能性のある転換を提供するだろう、とロック氏は述べています。

また、ロック氏は公園の作成は、2030年までに国の30%を保護するというカナダ連邦政府の公約にも適合します。しかし、公園が増えたとしてもバンフは混雑緩和のために予約制度が必要であると考えています。

COVID-19のパンデミックは、国立公園管理者に実験の余地を与えたかもしれません。
パンデミックで閉鎖された国立公園は2020年6月に再開した後、バンフ国立公園はボウバレーパークウェイの一部を車両に通行止めにしサイクリストに開放しました。
バンフ町内では、よりソーシャルディスタンスを取るためダウンタウンが歩行者天国となりました。

シンプルで予算のかからない対策は、エコロジーに影響を与えることなく、訪問者の体験を改善しました。どちらも、将来的にはより限定された形で継続される可能性があります。

このようにバンフ国立公園ではビジターに対する素晴らしい体験を提供するための努力とエコロジー保護のための努力が同時に進行しています。

状況は刻々と変化しています。その状況に応じて柔軟な対応が要求されています。

出典:カナディアン・ジオ・グラフィックス

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