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カナダの住宅市場、トップ10「あり得ないほど家賃が高額」都市に2都市もランクイン

*Frontier Centre for Public Policy(FCPP)**は、2024年の「Demographia International Housing Affordability Report」を2024年6月3日に発表しました。この報告書は、オーストラリア、カナダ、中国、アイルランド、ニュージーランド、シンガポール、英国、米国の8カ国、94の主要市場における住宅の手頃さを評価しています。

著者であるFCPPの上級研究員、ウェンデル・コックス氏は、中央値価格対収入比(中央値複数)を用いて住宅の手頃さを評価し、「手頃」から「あり得ないほど高額」までの市場を分類しました。この評価は2023年第3四半期のデータに基づいています。

カナダの住宅市場の現状

カナダの住宅市場は「深刻に手頃でない範囲」(中央値複数5.6)に位置していますが、同一国内でも市場間で大きな違いがあることが強調されています。中央値複数が9.0を超える市場は「あり得ないほど高額」とされました。

  • 香港が最も高額な市場(中央値複数16.7)。
  • オーストラリアのシドニー(13.3)メルボルン(9.8)アデレード(9.7)
  • 米国のサンノゼ(11.9)ロサンゼルス(10.9)ホノルル(10.5)サンディエゴ(9.5)

カナダでは、トロントの中央値複数は9.3で「あり得ないほど高額」、バンクーバーは驚異の12.3を記録しました。バンクーバーは過去16年間で常に最も高額な市場の1つとされています。

バンクーバーの住宅問題の拡大

コックス氏は、「バンクーバー市場でのあり得ないほど高額な住宅問題は、チリワック、フレイザー・バレー、ケロウナ、バンクーバー島の市場にも広がっています」と指摘します。「2015年から2023年にかけて、バンクーバー以外の小規模市場での住宅の手頃さは中央値世帯収入の2.5年分悪化し、バンクーバー市場自体の1.2年分を上回る悪化でした。」

トロントの住宅市場の悪化

トロントもまた「深刻に手頃でない市場」として84位(94市場中)にランクイン。コックス氏は、「トロント周辺のケンブリッジ・ウォータールー、ブラントフォード、ロンドン、グエルフなどの小さな市場でも、トロントの住民が生活費の安い場所を求めて移住するため、住宅の手頃さが悪化しています」と述べています。これらの市場での住宅の手頃さは、トロント市場自体の2.6年分を超える3.3年分悪化しました。

カナダで最も手頃な市場はエドモントン

コックス氏によると、カナダで最も手頃な市場はエドモントンで、中央値複数は3.6です。カルガリーは4.6で「深刻に手頃でない範囲」に位置します。**モントリオール(5.8)オタワ=ガティノー(5.3)**も「深刻に手頃でない範囲」に含まれています。

住宅問題の根本原因と対策

コックス氏は、「住宅が手頃でないことと国内の純国内流出には強い関連がある」と述べています。急速に増加する住宅購入困難は中産階級にとって脅威です。また、コックス氏は、住宅購入の不可能性が国の未来にどれほど破壊的であるかを強調し、「私たちは次世代の未来を殺している」と述べています。

解決策としての土地利用拡大

コックス氏は、カナダが「土地を開放する」ことで手頃な都市を実現できると信じています。カナダの農業用地は過去70年間で8000平方キロメートル減少しましたが、都市の広がりはほんの一部です。コックス氏は、「カナダの都市化は非常に小さい。作物や家畜の生産能力を損なうことなく、都市が成長する余地は十分にあります」と述べています。

都市拡張と貧困の問題

「都市の拡張と貧困の問題が存在します。10年待たなければならない住宅待機リストにいることは貧困です。補助住宅に住んでいるのは貧困です」とコックス氏は語ります。都市の拡張を支持する政治家が、手頃な価格で新しい人々を受け入れるための都市の拡張を許可しないならば、彼らは真剣ではないと断言しています。

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