カナダ、2050年までに炭素排出ゼロ目標にも道は険しい?

カナダは2030年までに2005年のレベルより炭素排出を40%削減するという気候目標のロードマップを打ち出しました。また、2050年までに正味ゼロの排出量を目指します。

しかし、この国のエネルギーインフラ全体を短期間で転換することは、数千億ドルの費用がかかる前例のない技術的課題に直面します。悲観論者は最近のカナダの状況を考えると不可能ではないかと指摘しています。

カルガリーを拠点とするエネルギーアナリスト、石油サービス部門の幹部兼コンサルタントであるデビッド・イェーガー氏は、次のように述べています。

「カナダの最近の歴史は、控えめに言っても、これらの(排出ゼロ)目標が難しい事を示唆しています。」

イェーガー氏によれば2016年に連邦自由党によって押しつぶされたEnbridgeInc.が提案したNorthernGatewayパイプラインを指摘しています。2017年に提案された157億ドルのEnergyEastプロジェクトは新しい環境基準などによって行き詰まった後中止されました。

その後、2021年に、TCEnergyが提案したKeystoneXLパイプラインプロジェクトも米国大統領のバイデン氏によってキャンセルされました。

沿岸ガスリンクパイプラインの BC州プリンスルパートのガスターミナルもこの地域の先住民グループがサーモン産卵場への影響について地元の懸念を表明したこともあり2017年に中止されました。

さらにトランスマウンテンパイプラインのプロジェクトのコストも2018年に連邦政府によって45億ドルで買収されましたが、文化的および環境的に回避するためのルート変更に悩まされた結果、214億ドルに膨れ上がりました。

これらのプロジェクトの反対者は化石燃料産業への依存をやめ、より環境に優しいエネルギー生産に移行する必要があることを主張しています。

しかし、最近建設が困難になっているのは石油とガス施設の建設だけではないとイェーガー氏は述べています。

オンタリオ州ではコウモリの個体数に脅威を与えるため風力発電プロジェクトが中止されました。

ケベック州では、マサチューセッツ州にクリーンな電力を運ぶはずだった提案された水力発電の施設はメイン州の住民が州内への送電を許可することを拒否した後に中止されました。

イェーガー氏びよれば「反対運動で携帯電話の塔を建てることさえ困難です。クリーンエネルギーの元となる新しい水力発電ダムをどこに設置できると思いますか?どこにもありません。」

専門家は、カナダがネットゼロの目標を達成するためには、2050年までに電力網のサイズを2倍、おそらく3倍にする必要があると示唆しています。そのためには新しい送電インフラだけでなく、水力発電などのクリーンな電力を利用できる地域と石炭に依存している地域をつなぐための州間の協力が必要になります。

さらに、連邦政府は、電気自動車業界の国内サプライチェーンをサポートするために、銅、アルミニウム、リチウムなどの重要な鉱物のカナダでの生産を増やしたいと考えています。

オンタリオ州キングストンにあるクイーンズ大学のエネルギー環境政策研究所の所長であるウォーレン・マビー氏は、政府の見通しは気が遠くなるようなものだと語った。

大規模なインフラプロジェクトが規制や社会的ライセンスの課題にますます直面しているのは、カナダだけではありません。これは米国とヨーロッパでも同様の話です。

しかし、2013年から2014年までアルバータ州の電力および再生可能エネルギーの副大臣を務めた元石油産業の幹部であるグランズ氏は、エネルギー転換の名の下に実施されたクリーンエネルギーのプロジェクトが石油・ガス業界が近年直面している同じ問題に直面するとは思わないと述べています。

「大規模な風力発電や太陽光発電に反対する人々は確かにいますが、世界最大の再生可能エネルギープロジェクトのいくつかは現在アルバータ州全体で開花しており順調に進んでいます。」

「これらのプロジェクトを止めようと努力している人はほとんどいません…これらのプロジェクトに不平を言う人はグリーンエネルギーに反対していると見なされ一般的には歓迎されません。」とグランズ氏は語ります。

彼女は、気候変動の名の下に実行されさえすれば、新しい送電線のための私有地の大規模な収用でさえ、反発は比較的少ないと信じていると付け加えています。